銕仙会

銕仙会

曲目解説


 (おきな)
 
かつて能と狂言は「猿楽」と呼ばれており、その猿楽の本来の芸は「翁猿楽」であった。現在の「翁」は、その「翁猿楽」の形式を観阿弥・世阿弥時代に整理したもので、様々な点で普通の能の演目とは異なる独特の様式があり、古い上演の形式を残している。
世の中が平和でおだやかであることを祈る儀式的な曲。そのため新年や舞台開きなどの祝賀に際して上演されることが多い。「翁」の演目そのものが神聖視されている。
 
舞台展開
*上演の前に鏡ノ間で儀式がおこなわれる。

  1. 翁面を納めた面箱を持った面箱持を先頭に、それぞれの役が橋掛リから舞台に登場する。
  2. 翁の役が舞台の正面先で深々と礼をし、舞台奥に着座する。その他の役も所定の位置に座る。
  3. 翁の役が「とうとうたらり…」と謡い出す。
  4. 千歳(せんざい)が颯爽と舞を舞う。この舞の間に翁の役は「白色尉(はくしきじょう)=翁面」の面をつける。
  5. 翁が荘重な舞を舞う。
  6. 翁はもとの座に着し、面を外し、舞台から退場する。千歳も退場。
  7. 三番叟(狂言方が担当する)が力強く舞を舞う。「揉ノ段」
  8. 三番叟は「黒色尉」の面をつけると、面箱持と言葉を交わした後に鈴を受け取り、鈴を振りながら舞を舞う。「鈴ノ段」

 
ここに注目
通常の能の上演とは異なる点が多い演目である。例えば、通常は切戸から舞台へ入退場する地謡が、ほかの出演者と同じように橋掛リから入場すること。小鼓の役は三人登場し、小鼓だけで三人が同時に三拍子のような特殊なリズムで囃す場面があること。地謡・囃子方・後見が侍烏帽子に素袍上下の姿であること(通常は黒の紋付に袴姿。時に上下や長袴を着用)などがある。
 
(文・中司由起子)

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