平家転覆を謀った咎で、鬼界ヶ島へ流罪となっていた成経、康頼、俊寛のもとへ赦免使が遣わされる。中宮徳子（建礼門院）の懐妊により、恩赦が下されたのだ。

しかし何度読み返しても赦免状に俊寛の名はない。やがて船は成経と康頼を乗せ、岸を離れる。無情にも遠ざかる船を俊寛は一人浜辺で見送るのだった…。

絶海の孤島に一人取り残された俊寛の深い絶望と悲しみ、孤独感を描いた名作劇能。

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羽黒山の山伏が修行の帰り道、祖父のもとを訪ねる。腰の曲がった祖父を気の毒に思った山伏は、行力で直してやろうと数珠を押し揉んで祈る。しかし逆に祈りが強過ぎて腰が反り返るほど伸びてしまい…。

新米の山伏ゆえの失敗が笑いを誘う狂言。

下野国那須野の原を訪れた玄翁道人の前に女が現れ、近寄れば命を落とすという巨石、殺生石の謂れを語る。

やがて殺生石が割れ、中から妖狐が姿を現す。かつて天竺・唐土で宮廷に仇なした妖狐は、この日本でも美女玉藻前となって妖しの力で鳥羽院を病に伏させた。しかし遂にこの那須野に追いつめられ、調伏された妖狐は殺生石と変じたのだという…。

九尾の狐伝説を描いた能で、前半の妖艶な不気味さと後半の迫力ある仕方話が見所の能。

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