公益社団法人 銕仙会
銕仙会能楽研修所
住所 〒107-0062 東京都港区南青山4-21-29
電話 03-3401-2285(平日 午前10時〜午後5時)
FAX 03-3401-2313
E-mail info@tessen.org
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月宮殿(げっきゅうでん) ※他流での名称。
| シテ | 皇帝 |
|---|---|
| ツレ | 鶴 |
| ツレ | 亀 |
| ワキ | 大臣 |
| ワキツレ | 臣下 【2人】 |
| アイ | 官人 |
| ※鶴・亀は、子方がつとめる演出もあります。 | |
唐土 皇帝の宮殿
新年。唐土の都、金銀珠玉によって飾り立てられた帝王の宮殿では、皇帝(シテ)が大臣たち(ワキ・ワキツレ)の前に出御し、拝賀の儀式が行われていた。やがて、吉例として庭上に召し出され、慶賀の舞を舞う鶴(ツレ)と亀(ツレ)。その面白さに感じ入った皇帝は、自らも玉座から下り立って舞楽を舞うと、一同は長寿万歳を喜ぶのだった。
ここは、中華帝国の都。天下を治める皇帝の仁徳に充ち満ちた、栄華を誇る帝都である。新年を迎えた今日、その威光はいっそう輝きを増し、下は人民に至るまで、青陽の春の訪れを祝福していた。
間もなく、廷臣たちの拝賀の時刻。王宮に使える官人(アイ)は準備を進めつつ、皇帝の出御の時を待つ。
やがて出御の時刻。皇帝(シテ)は、大臣たち(ワキ・ワキツレ)の並み居るなか、悠々と玉座に登ってゆく。永遠に沈むことなき、日月の輝光を眺める皇帝。その階下には、数限りない官人たちが、袖を連ねて帝を礼拝する。金銀の砂を敷きつめた庭に、錦や宝石の数々で飾り立てられた楼閣。鶴や亀がたたずむ池のさまは、さながら仙境・蓬莱山に異ならぬ。そんな、栄華を極めたこの宮殿が体現する、わが皇帝陛下の威徳なのであった。
新春には、鶴と亀とを舞わせるのが毎年の吉例。大臣は、今年もそれを行わせようと奏請する。やがて庭上に召し出された、千年の鶴(ツレ)と万年の亀(ツレ)。鶴亀は、皇帝の御前において、優雅に舞を舞いはじめる。
千年の松が湛える、深い緑。その色にも似た緑毛の亀が舞い遊べば、丹頂の鶴もまた、千歳の寿命を皇帝に捧げて祝福する。庭上に並び立ち、帝を拝する鶴と亀。その姿に、わが皇帝陛下もご満悦の様子。機嫌を良くした皇帝は、自らもまた玉座から下り立つと、舞楽の袖を翻しはじめた——。
ゆったりと舞を舞う皇帝。翻る白い袂はさながら月の都の如く、柔らかく軽やかなさまはあたかも四季の花々のよう。秋の紅葉、冬の雪をも思い起こさせる、舞楽の装束。そんな麗しい衣を身にまとい、皇帝は、大臣たちの奏でる音楽に乗って舞い戯れる。山河草木、国土のすみずみに至るまで、いつまでも豊かにと願う皇帝の舞。その姿に、還御の玉輿を担う官人たちまでもが、わが聖主の長寿万歳を喜ぶのだった。