能・狂言の番組(プログラム)の書き方には様々な“きまり”があります。
流儀によっては多少の違いはありますが、ここでは観世流の書き方で説明いたします。
最近の番組では演者の名前の上に「シテ」「ワキ」等の他にその日の役柄を書く等のこともあります。
本来は伝統的な書式に従って縦書きに書かれ、このページの番組にある赤字の部分は表記されません。
例1 能
一番上に曲名が書かれ、それぞれの演者の名前は、シテの書かれる位置と高さ、ツレ・ワキ・ワキツレ・アイ・囃子方の並び方など、それぞれが細かく決まっています。
地謡は地頭(地謡のリーダー)を①としています。
A | シテ | 物語の主役 |
B | ツレ | シテの助演者 |
C | ワキ | シテの相手役 |
D | ワキツレ | ワキの助演者 |
E | アイ | 間狂言ともいいます |
F | 笛 | I 太鼓方のない演目もあります。 詳しくは>四拍子についてをご覧ください。 |
G | 小鼓 | |
H | 大鼓 | |
I | 太鼓 | |
J | 主後見 | 後見のリーダー |
K | 副後見 | |
L | 地謡 | 舞台右側に座っている謡い手衆 |
M | 小書 | 能の特殊演出 曲目の左下に小さく書かれる |
例2 翁
もともと五穀豊饒を祈る神事から生まれた芸能で、能にして能にあらずといわれる『翁』は表記も特殊です。曲名の下に「シテ」が書かれ、「千歳」「三番三」「面箱」などの役名は表記される場合が多いようです。
A | 翁 | 集落の長の象徴 白式尉という翁面をつける |
B | 三番叟 | 農耕者の象徴 黒式尉という面をつける |
C | 千歳 | 若者の象徴 面はつけない |
D | 面箱持 | 狂言方が務める 白式尉・黒式尉、鈴が収められている |
E | 笛 | |
F① | 小鼓頭取 | *大倉流の場合 |
F② | 小鼓脇鼓 | |
G | 大鼓 |
例3 狂言
A | シテ | 狂言の主役 古くは「オモ」とも言ったようです |
B | アド | シテの相手役 |
近年の銕仙会の公演(定期公演・青山能)ではお客様にわかりやすく見ていただく為に横並びに、また役名も表記しています。