世阿弥は能をつくる上で、「本説正しい」ことを説いています。
「本説」とは能の典拠、出典となるもので、現行曲のなかでも著名な古典物語を能の題材に選び、舞台化された作品が多くあります。
【伊勢物語】
平安初期に作られた歌物語。在原業平をモデルに、恋愛・友情・親子の愛情をテーマにした短編小説。
井筒、雲林院、杜若 など
【大和物語】
「伊勢物語」よりあとに作られた歌物語。宮廷社会の様々な物語が収められている。
求塚、采女、姥捨 など
【源氏物語】
平安時代中期、紫式部によって書かれた小説。光源氏を中心としたラブロマンス。
葵上、野宮、半蔀、夕顔、浮舟 など
【今昔物語】
「今は昔」の書き出しで始まる、平安時代末期に成立した説話集。インド、中国、日本の千余りの説話がある。
道成寺、田村、一角仙人 など
【平家物語】
鎌倉時代に成立した、平家の栄華と没落を描いた軍記物語。
屋島、清経、敦盛、忠度、巴、熊野、船弁慶
【義経記】
源義経とその主従を中心に描いた軍記物語で、南北朝時代から室町時代初期に成立。
安宅、接待、烏帽子折 など
【曽我物語】
鎌倉時代、曽我兄弟の仇討を描いた軍記物語。
小袖曽我、夜討曽我、禅師曽我