第十六回 桂諷會
- 能「求塚」長山桂三
- 狂言「磁石」野村万作
- 能「石橋 大獅子」長山凜三
- 会 場
- 国立能楽堂
- 日 時
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- 2024年11月24日(日)
- 午後1時開演(正午開場)
- 午後5時頃終演予定
- 入場料
- こちらをご覧下さい
- 主 催
- 能・狂言鑑賞の会
gettiis(本公演のみ)
インターネット https://www.gettiis.jp/event/detail/100424/V31029
銕仙会(本公演・事前講座・動画配信)
TEL:03-3401-2285(平日午前10時〜午後5時)
チケットぴあ(本公演のみ)
インターネット https://t.pia.jp Pコード:527-390
*2024年11月2日(土)に予定しておりました事前講座は、事情により中止させていただきます。
能 求塚(もとめづか)
前シテ 後シテ |
菜摘女 菟名日処女の霊 |
長山 桂三 |
ツレ | 菜摘女 | 北浪 貴裕 |
〃 | 〃 | 坂井 音晴 |
ワキ | 旅僧 | 宝生 常三 |
ワキツレ | 従僧 | 舘田 善博 |
〃 | 〃 | 梅村 昌功 |
アイ | 所の者 | 深田 博治 |
笛 小鼓 大鼓 |
松田 弘之 曾和 正博 國川 純 |
|
太鼓 | 金春惣右衛門 | |
後見 | 観世銕之丞 | |
鵜澤 久 | ||
地謡 | 浅井 文義 山崎 正道 馬野 正基 浅見 慈一 長山 耕三 安藤 貴康 小早川泰輝 小早川康充 |
早春の摂津国(兵庫県)生田の里。旅僧の前に現れた若菜摘みの女たちは有名な求塚の所在を問われると、素っ気なく知らぬと答えて立ち去ってしまう。しかし一人残った女は僧を求塚へと案内し、その謂れを語って聞かせる。
昔、この地に菟名日処女(うないおとめ)という女がいた。小竹田男子(ささだおのこ)、血沼丈夫(ちぬのますらお)という二人の男に求愛された処女は鴛鴦を同時に射させ、見事射ることが出来た方を選ぶことにする。しかし二人の矢は同じ翼に当たり、遂にどちらをも選ぶことが出来なかった処女は、いたずらに鴛鴦の命を奪ったことを悔いて生田川に身を投げてしまった。その後、男たちも塚の前で刺し違えて果てたという…。
そう語ると、女は僧に救いを求めて消え失せてしまう。
やがて僧の弔いに処女の霊が姿を現すと、凄惨な八大地獄の有様を次々と見せる。小竹田男子と血沼丈夫が処女の手を取って引きあい、また嘴が鉄、足が剣という恐ろしい姿の鴛鴦が処女の頭を突き、髄を喰らう。さらに笞を打つ獄卒に追い立てられ、逃れようにも前は海、後ろは火焔。思わず柱に縋り付けば、柱も忽ち火焔となって処女を責め立てる…。
この曲は観世流では昭和26年に六世観世銕之丞(華雪)の手により復曲され、八世銕之亟(静雪)が復曲した能「三山」と並んで銕之丞家ゆかりの復曲能である。前半の大らかな早春の若菜摘みの光景と後半の暗く陰鬱な地獄の有様、それに苦しむ処女の姿との対比が観る者に鮮烈な印象を与える。
さらに詳しい解説は〈こちら〉から
狂言 磁石(じしゃく)
シテ | すっぱ | 野村 万作 |
アド | 見附の者 | 野村 萬斎 |
小アド | 茶屋 | 高野 和憲 |
後見 | 月崎 晴夫 |
遠江国(静岡県西部)見附の里の田舎者が都へと向かう途中、大津松本に立ち寄る。するとそれに目をつけたすっぱ(詐欺師)が同郷の者と偽り、言葉巧みに田舎者を茶屋へと連れ込む。実は茶屋の亭主は人買いで、すっぱは田舎者を売り渡そうとしていたのであった。二人は密談を交わし、翌朝代金を支払うことで話がまとまるが、それを盗み聞きしていた田舎者は金の受け渡しに先回りし、まんまと金をせしめて逃げてしまう。
出し抜かれたと知ったすっぱは慌てて田舎者を追いかけ、太刀を振り上げて田舎者を脅す。すると突然田舎者は大声をあげ、太刀を飲み込もうとするではないか…。
奇抜な発想が秀逸な狂言。
仕舞
菊慈童(きくじどう) | 観世銕之丞 |
地謡 | 馬野 正基 浅見 慈一 北浪 貴裕 小早川康充 |
能 石橋 大獅子(しゃっきょう・おおじし)
前シテ 後シテ |
童子 赤獅子 |
長山 凜三 |
ツレ | 白獅子 | 長山 桂三 |
ワキ | 寂昭法師 | 野口 能弘 |
アイ | 仙人 | 野村 裕基 |
笛 小鼓 大鼓 太鼓 |
杉 信太朗 大倉源次郎 大倉慶乃助 林 雄一郎 |
|
後見 | 清水 寛二 | |
長山 耕三 | ||
鵜澤 光 | ||
地謡 |
観世銕之丞 観世 淳夫 西村 高夫 柴田 稔 武田 友志 坂井 音雅 武田 文志 小早川泰輝 |
出家して寂昭法師と名を改めた大江定基は入唐渡天を志し、海を渡る。仏跡を巡る旅の途次、峨々たる清涼山(中国山西省)へと至った寂昭は、身の毛もよだつ程の深さの谷に幅一尺(約30㎝)、長さ三丈(約9m)程の石橋がかろうじて架けられているのを見つける。
そこへ不思議な童子が現れ、橋の向うは文殊菩薩の住む浄土だが、名高い高僧でも橋を渡ることは困難だと言って寂昭を引き留める。
やがて橋の向うより文殊菩薩に仕える霊獣獅子が現れると、咲き匂う紅白の牡丹に勇壮に舞い戯れ、千秋万歳を寿ぐのだった…。
近世邦楽や歌舞伎舞踊等、後世の芸能にも多大な影響を与えた能で、獅子が牡丹の花に舞い戯れる様をダイナミックな動きと激しい気迫で演じるという重い習いの能。今回は普段省略されることの多い、童子が登場する前半部分も併せた形での上演。
「大獅子」の小書(特殊演出)がつくと、白と紅の親子獅子が登場し、それぞれが荘重に、また俊敏に舞い戯れる様を見せるという、より華やかで祝言性を強調した演出となる。
さらに詳しい解説は〈こちら〉から