1 能楽以前
奈良時代、大陸から渡ってきた舞楽や伎楽など様々な芸能の中に散楽 がありました。散楽は現在の大道芸のような、雑芸(手品や軽業、歌、演劇、舞踊など、種々雑多な芸)を主とするものでした。この散楽が、日本古来の滑稽な演技「俳優 」と習合して、猿楽(のちの能)へと発展していく母胎となりました。「散楽」が音便で「さるがく」「さるごう」などと訛り、滑稽な要素も手伝って「猿楽」という字を当てるようになりました。
平安時代、こうして生まれた猿楽は、秀句(ダジャレなど)・物まね・寸劇などの滑稽な演技を主とする芸能でした。これが、現在の狂言へとつながっていきます。
鎌倉時代、猿楽が、滑稽な演技だけでなく、ストーリー性のある演劇的な演目をも上演するようになりました。これが、現在の能へとつながっていくことになります。
また、これと並行して、大寺院の法会のさいの魔除けや招福の芸能をも担うようになり、これが〈翁〉のもととなりました。この芸は、神聖な演技として非常に重視されていました。
一方で、この頃、もとは田植えや稲刈りなど農事に関連した芸能から発達した田楽 も演劇を上演するようになっており、「猿楽の能」「田楽の能」が併存していました。
また、これと並行して、大寺院の法会のさいの魔除けや招福の芸能をも担うようになり、これが〈翁〉のもととなりました。この芸は、神聖な演技として非常に重視されていました。
一方で、この頃、もとは田植えや稲刈りなど農事に関連した芸能から発達した
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